夏休みが始まる前。
「時間ができたら、あれをやろう」
「ずっと気になっていたところを片づけよう」
「運動も始めたい」
「読みたかった本も読もう」
そんなふうに、いろいろ考えていた人もいるのではないでしょうか。
私もそのひとりです。
ところが、気がつけば夏休みも終わり。
振り返ってみると、
「あれ? 結局ほとんどできてない…」
急にそんな気持ちになって、ちょっと落ち込む。
時間はあったはずなのに。
やろうという気持ちもあったのに。
それなのに、どうしてできなかったんだろう。
「私って怠け者なのかな」
「意志が弱いのかな」
「結局いつもこうなんだよね」
そんなふうに、自分の性格のせいにしたくなることもあります。
でも調べてみると、
「やろうと思っていたのに、できなかった」
ということは、単純に性格や意志の弱さだけでは説明できないようです。
人の考え方や行動には、いくつかの特徴が関係しています。
「時間があればできる」と思ってしまう
夏休み前は、普段より自由な時間が増えるように感じます。
すると、
「夏休みになったら片づけよう」
「時間があるから、そのうちできる」
と思いやすくなります。
ところが人には、物事に必要な時間を実際より少なく見積もってしまう傾向があります。
心理学では、こうした傾向を「計画錯誤(プランニング・フォールシー)」と呼びます。
「これくらいならすぐできる」
「休みの間なら余裕でできる」
と思っていたのに、実際に生活が始まってみると、
買い物をしたり
家事をしたり
家族の予定が入ったり
出かけたり
疲れて休んだり
そうしているうちに、長いと思っていた夏休みもどんどん過ぎていきます。
夏休み前に考えていた
「時間はたくさんある」
という見積もり自体が、少し楽観的だったのかもしれません。
「やりたい」と「実際にやる」は別のもの
「やろうと思っていたんだから、本当にやりたかったはず」
そう思いますよね。
ところが心理学では、
「やろうと思うこと」と「実際に行動すること」の間にはギャップがある
ことが知られています。
「運動しよう」
「片づけよう」
「勉強しよう」
そう思っただけで、自動的に行動に移せるわけではありません。
特に、
「夏休み中に片づける」
「時間があるときに運動する」
「暇になったら本を読む」
のような漠然とした目標は、具体的にいつ始めるのかが決まっていません。
だから、
「まだ明日がある」
「今日はちょっと疲れているから、また今度」
となりやすいのです。
これは「やる気がなかった」というより、
やりたい気持ちを実際の行動につなげるのが、思っているより難しい
ということなのかもしれません。
先延ばしは「怠けているから」だけではない
では、なぜ私たちは先延ばしをしてしまうのでしょう。
先延ばしについては、単なる時間管理の問題ではなく、感情との関係も研究されています。
たとえば、
「片づけなきゃ」
と思った瞬間。
「面倒だな」
「どこから手をつけよう」
「全部やるのは大変そう」
そんな小さなストレスを感じることがあります。
すると、
ちょっとスマホを見る。
動画を見る。
コーヒーを飲む。
別のことを始める。
そうすることで、一時的に「やらなきゃ」という嫌な気持ちから離れることができます。
つまり先延ばしは、
「やりたくないから何もしなかった」
という単純なものではなく、
目の前のちょっと嫌な気持ちを避けた結果、後回しになってしまう
こともあるのです。
そして一度後回しにすると、
「今日はもういいか」
「明日やろう」
となり……
気づけば夏休みの終わり。
そんな経験、ありませんか?
「時間がある」と「動ける」は同じじゃない
もうひとつ忘れたくないのが、
疲れです。
夏休みだからといって、心や体まで休んでいるとは限りません。
暑さ 家事 仕事 子どもの予定 帰省や旅行
いつもと違う生活リズム。
予定がなくても、暑いだけでなんとなく体がだるい日もあります。
「休みなんだから時間はある」
と思っていても、
時間はあっても、何かを始めるためのエネルギーは残っていなかった
ということもあります。
だから、
「時間があった=何でもできる状態だった」
とは限らないのです。
そして夏休みの終わりに、自分を責める
夏休みが終わりに近づくと、
「あれもできなかった」
「これもできなかった」
と、なぜかできなかったことばかりが目につきます。
そして、
「せっかく時間があったのに」
「もっとちゃんとすればよかった」
「今年の夏も何もできなかった」
と自分を責めてしまう。
でも、本当に何もしていなかったのでしょうか。
毎日の生活があって、
ごはんを食べて、
家のことをして、
誰かと話して、
出かけた日もあって、
疲れた日は休んで。
この暑い夏を、今日まで過ごしてきました。
予定していたことが全部できなかったからといって、
夏休み全部が無駄だったわけではありません。
そして、できなかったことは、
夏休み中にしかできないことだったのでしょうか。
片づけは9月でもできます。
読みたかった本は秋に読んでもいい。
運動だって、これから始められます。
夏休みという期間を、自分の中で勝手に「締め切り」にしていただけなのかもしれません。
だからまずは、
「できなかった自分」を責めすぎないこと。
「そんな夏もあるよね」
くらいでいいのかもしれません。
私も今年の夏を振り返ると、
「あれもやりたかったな」
「これもできなかったな」
と思うことがあります。
でも、まだこれからがあります。
では、
「やろうと思っているのに、なかなか動けない」
そんなとき、どうしたら実際の行動につなげることができるのでしょうか。
明日は、
「やろう」を「やる」に変えるためにできること
について、もう少し考えてみたいと思います。


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